やわらかな金型

2018年06月19日

早川金属制品(昆山)有限公司は、アメリカのお客様ご発注のメキシコ向け金型の受注をした。

今回で4回目となるこの受注を私は勝手に『メキシコ金型祭り!』と呼んでいる。

何が祭りなのかというと、金型づくりのパワーと加速度を最大限発揮しなければならないからである。

 

その実績はというと。

【1回目】TV用70インチ、60インチ枠の金型 6工程12型 40日でサンプル提出しました。

(型幅2400mm、1型5t以上)

【2回目】冷蔵庫金属部品1式 大小併せて74型を30日でT1サンプル提出しました。

【3回目】家電金属部品1式 大小併せて56型を30日でT1サンプル提出しました。

【今 回】家電金属部品1式 大小併せて111型を40日後にサンプル提出する予定。

型面数からすると今回は最多面数更新である。今回も弊社の協力工場さん達(すべて中国民営)に協力を仰ぎながら突っ走る。

 

中国事業に携わり12年半が経つ。中国の商習慣や社員たちとの関わり方を色々と学んできた。

そのうちのひとつが

いかに先回りして起こりうる問題を先に潰していくか?

だと思っている。中国アルアルも含め「痛い」思いを何度したかによってその精度は上がっていく。

その数こそがノウハウなのだ。

 

受注がほぼ決まった日の午後、今回はちょいと風向きが変わった。

協力工場を指定し、そこの誰と話をし、111型中何型が出来るかを確認し、納期とのバランスを取り、金型の分配をしていくことを指示しようと思い、私は現地に電話をした。

ところが弊社中国人社員たちは、午前中にすべての協力工場さんを訪問し話をつけていたのである。

「もう話をしてきましたよ……111型全部受けます!」

と言ったのである。さすがにビックリした。先に彼らが覚悟を決めたのである。

 

お客様にご発注のお礼メールを打ったところ、下記のような返事を頂いた。

“いつもお世話になっております。

これまでの御社のサポートが認められているという事だと思います。

今回もよろしくお願いいたします。今年は多分訪問します。“

 

金型というのは意匠や設計ノウハウ等のソフトがのったものである。

そこにさらに社員さんたちの想いや覚悟といったソフトがのる。

硬い金属製の金型であるが、ソフトという柔らかさがのってこそ、その価値は喜ばれ光るのであろう。そういう「ものづくり」をしていきたいと思う。