ただ在るということ

2019年07月23日

ぼくは「まっくん」

なぜかというと周りの人たちが僕のことを「まっくん」と言いながら近寄ってきたり

なにかを差し出したりしてくるからだ。

まっくん=まさひろ。まさひろは、僕の名前だという事はお母さんに教えてもらった。

 

僕は周りの人のように言葉が使えない。

でも、みんなが使う言葉の意味を全部知っている。

頭の中でうまく言葉に変換できていないのだ。

短い言葉や目に見えたものが口から続いて出てしまう。

過去に見たものやそれと繋がった言葉もランダムに出てしまう。

広場に”言葉のかるた”がバラバラに散らばっている感じかな。

 

お母さんや一部の人たちは、その意味を分かっていてくれ、反応してくれる。

嬉しかったり、ウザかったりするけどね。

 

そんな僕もこの世界に出てきて23年になろうとしている。

身体もお父さんより大きくて重い。

 

僕はこの世界に出てきてから自分の見たものに関心を持ち

やらずにはいられない事をしながら過ごしてきた。

時間を決めて動くことも出来るよ。

なぜなら学校というものにも毎日行っていたから。

学校には急に行かなくてもよくなってしまった。

なぜかはわからないけど。

 

そして今はおうちの中で楽しんだり、外に出かけたりしている。

 

自分の気持ちが伝わらないことでイライラすることもある。

ダメだと言われることの意味が分からず何となく妥協したりもする。

妥協できずに大きな声を上げることもある。

それでお父さんは簡単にひるむことは知っている。

だから大声はできるだけお父さんに。(笑)

 

周りの人たちは僕に笑いかけたり、優しくしてくれたり

怪訝な顔をしたり、悲しい目で見たり、励ましてくれたり。

と、いろんな感情で見てくる。

 

僕のじっと見つめるその眼はその感情を読み取ることが出来る。

僕は感情がざわついたりもするし、じっと動かないとかして抵抗したりもする。

でもそれは僕の話ではなく、周りの人たちから見た僕の話だ。

 

僕は周りの景色にぼんやりすることなく、しっかりと輪郭を持っているから僕なのだ。

 

僕はずっとこうして過ごしてきた。

そして、今日もここに居る。

そして、白いごはんが大好きだ。

 

このストーリーはフィクションです。

※写真はイメージ